2016年1月26日火曜日

時々の初心


新年会で、大学の同期たちと語らっていた時のこと。
友人が私の手を見て、「凄いゴツくなったね!」と。

節々がゴツゴツ出っ張って、太い指。
真っ直ぐには伸びずに、曲がったままの間接。
固く盛り上がった皮膚を、ハサミでジョキジョキ切ったり。

大学の頃は、随分細くて華奢な手だったはずだけど…。
知らず知らずのうちに、だいぶ職人の手になってきたようです。
あの頃の自分たちはどうだったか、思い出話もはずみました。

「時々の初心、忘るべからず」とは、世阿弥の言葉。
学生の頃の初心。就職した時の初心。
この道を歩み始めた時の初心。独立した頃の初心。

初心というと、始めた頃の気持ちや志という
意味合いで使われることが多いですが、
もともと世阿弥は、始めたばかりの未熟な状態、
という意味で書いていたのが、興味深いです。

初心を忘れれば、初心に逆戻りする。
さらなる向上を目指すとき、今もひとつの初心にすぎないと。

自分のそれぞれの時期の初心を忘れず、
時と経験を重ね、なしえること、生み出せること。
先日亡くなった名優、アラン・リックマンさんも、
歳をとってからやっとシェイクスピア劇のいい役がやれるようになる、
とおっしゃっていたそうです。

今、自分の初心は何か。
その先に、積みあげ築くものは何か。
今もまた、ここから始まる未来への初心。


[メールメガジンRyuze+ 2016.1.23 号に掲載のコラムより]


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