2012年5月17日木曜日

漆黒の黒 ~鉄の仕上げ方法いろいろ~


鉄の仕上げ方法、いくつかありますが、その品に求められる用途や機能、色味や雰囲気、お客様のご希望などに応じて使い分けています。


室内の家具や調度品、雑貨や道具など、 鉄の黒皮の雰囲気を伝えるのに、一番良く使うのが、ウレタンのつや消しクリア塗装
今では、ホームセンターでも各種塗料が豊富に揃っていますので、後々お客様でもメンテナンスが比較的容易です。

クリアの塗装は、室内用としては適していますが、屋外や水に濡れたり湿度の高い条件などでは、やはり錆が発生しやすくなりますので、そんな時には、下地に亜鉛めっきや同等の錆止め塗装をしたうえで、仕上げに着色塗装を施します。
錆には強いですが、やはり塗料の色にはなってしまいます。


鉄の黒皮の雰囲気を活かし、メンテナンスも比較的容易な場合には、蜜蝋仕上げ
ミツバチが巣を作る際に出すワックス成分を抽出した、天然素材を用いた代表的な仕上げ方法のひとつです。
温めた鉄の上で蜜蝋を融かし、表面にワックスコーティングを施します。
同じ蜜蝋仕上げでも、黒く仕上げたいときには、焦がして焼付けます。

ただ、高温になると、コーティングしたワックスが融けてきてしまうので、熱くなるようなものには不向きです。また、塗料に比べれば、錆止めの効果や耐久性はやや弱めになります。


高温になるものや、熱が伝わるような道具、例えば鍋敷きなどのような品には、耐熱焼付塗装を施します。耐熱塗料は、ストーブなどにも用いられるような塗料で、300℃や600℃まで耐えられるようなものがあります。

フライパンなどの調理道具などは油焼き。口に入ったとしても問題ないように、という理由と同時に、使用時のメンテナンスが容易で、表面に出来る油膜が機能的にも最適です。


そして、もうひとつ、漆の焼付け仕上げ
鉄を熱しておいて、漆を表面で焼き付けます。
艶のある黒や、マットな黒、あるいは弁柄を混ぜて自然なムラを出すことで、錆に近い茶色などに仕上げたりします。
漆が比較的高価なので、他の仕上げ方法ほど多用はしていませんが、やはりこの品は漆の焼付けで、というシチュエーションで良く用います。

どの仕上げ方法でも、焼付けた方が、通常仕上げの場合よりも、強度的にも比較的強くなります。

また、可動部分のあるものは、蜜蝋仕上げや漆の焼き付け仕上げを選択することが多いです。あくまでも私の場合ですが。


機能や用途によって、それぞれより良い仕上げ方法を選んだり、方法ごとに、仕上がりの色目や雰囲気がだいぶ変わってきますので、そうしたイメージを優先させて仕上げる場合もあるでしょう。
いずれにしても、使用状況や後々のメンテナンスまで考慮して、最適な仕上げ方法を選択できればと思います。


画像は、漆の焼付け仕上げ。
ダッチオーブンの蓋を開けるリフターの、ロングタイプです。

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